うどん以外で、香川に行く理由。

関西からの日帰り旅行、足を延ばすならどのあたりまでいけるだろうか。土曜日の朝といえば1週間で1番清々しい瞬間だろう。次の日は日曜日で仕事は休み。昨日までの仕事からの開放感。予定があるなら胸を躍らせて週2日でしか着れない私服を吟味し、予定がない日は何も考えず自分のペースでくつろぐことができる。まさに休みの中の休み、休みの王様、真の休み。土曜日の朝はそうであるべきなのだが、今日の私はどうやらその甘美な感情をもっていない。まず、5時半に目覚ましをつけている。なんなら時間が気になりすぎて4時に一度起きた。果物とR-1だけ食べて歯磨きし、服に着替える。私服ではない。そう、今日は会社に用があるのだ。
少しラフにスーツをきて、いつもよりすいている電車に乗る。透き通るくらい晴れわたり、上に二枚着ているのがちょうどいい気候。まぶしい朝日に目を細めながら今日仕事であることをいまいましく思う。
印刷研修、と聞くとコピーの仕方でも教わりそうなものだがそうではない。香川県にある印刷工場へ見学に出かけるのだ。もちろん日帰り。予定では7時半に集合し、20時に解散。長すぎるなぁ、と前日メールで詳細を確認してから土曜日が休みではない憂鬱さ、次の1週間がすぐに始まるわずらわしさを想像して肩を落としていた。
しかし現地に集合してみると若手社員ばかりで気兼ねなく過ごせる。少しずつ気持ちが上向きになり、ちょっとした旅行だと考えるようにした。
11時ごろにうどん屋へ到着。香川は東から西にむかって麺が柔らかくなるそう。案内してくれる印刷会社の人は、西出身で東の麺は固く感じるらしい。関西とは違って昆布が中心の塩を多く入れた出汁はかけうどんが1番あじわえる、とのことなので、かけうどん大ととり天を注文。シンプルで爽やかな出汁にコシがあるうどんは、ハイカラさはないがしっかりと支持されている理由がわかるおいしさだ。
食べ終えてから印刷工場に移動。インク会社の技術者が、印刷のノウハウを教えてくれる。眠たい座学だったがどのような原理で大量の印刷、製版が行われているか理解できた。その後に印刷工場を巡り、四版が出来上がる様子や裁断される様、ページを重ねて表紙をつける過程を見ることができた。
自分たちが書いたものが現物になる姿を目の当たりにできたのはおもしろい。しかしその分バスに乗る時間は長くて辟易した。まあ、今から楽しむか。と京都に帰る電車内でかいている。さて、休日を取り戻しに一杯引っ掛けるか。