おやじもみんな青春がある

昨日は信長の野望にはまってしまったせいで寝るのが遅くなった。どうしてなかなか早く寝る習慣がつかない。学生時代についてしまった生活リズムは簡単にぬけだせるものではない。京都から大阪までの電車の中でどうにか座れているものだから、眠ることができている。この小一時間が、とても大事だ。朝からの頭の働き方が違う。いつものように会社の前にあるホテルの駐車場の喫煙所で、煙草を吸う。手にはセブンイレブンで買った、レギュラーサイズのアイスコーヒー片手に、自分なりの仕事へのスイッチを入れる。雨上がりのしけた気候は、舞うたばこの煙を服に閉じ込めてしまいそうで気にかかる。においがつくのではないかとスーツの袖をかいでみるが、よくわからない。結局何もにおいに関して対策することなく会社の方に向かう。

 今日は大掃除の日。たまたまではあるが家から持参した本立てとファイル入れを設置する。煩雑だった机まわりを整頓し、なんとなく働いているかんじが出来上がった。パソコンに向かって左側にファイルやコピーに関する本、AERAなどの雑誌を置くと、まさに「クリエイティブ」な仕事をしている感じになる。自分としては汚れた机に憧れを持っているので、クリーンにすることに反発する気持ちがあるが、やっぱりきれいになると気持ちも晴れる。

 午前は研修があり、WEBのワイヤーフレーム作りについて学ぶ。昨今のサイトは本当に人の目を引く面白いものばかり。自分で作れるならどのようなものがいいか、意外と湧いて出てこなかったので、あまり深く考えずに発表する。周りの人の説明の丁寧さに少し引け目を感じ、反省。1時半ごろに昼食をとる。お弁当を買おうとコンビニに行くが、この時間はご飯の量としっかりした味のおかずが入ったものがもう残っていない。そもそも売切れ寸前だ。仕方なくサイゼリヤに行って500円ランチセットを注文。バイトが足りてないのか混み入ってはいないがハンバーグが出てくるまで時間がかかる。客足は途絶えず忙しそうだった。午後からは博物館と水族館のポスターのラフを考える。前回以上にコピーを考えるのがはかどり、ポスターのラフデザインを描くのも順調。「五感を、フル稼働。」「『もうへとへと』が、今日の目標」「パパはコドモに。ボクはオトナに。」などいろいろかける。ラフの完成が遅れてしまって、上司に迷惑をかけてしまったのが唯一の心苦し残りだ。

 帰り道に同期が貸してくれた『されど、われわれが日々―――』を読み終える。党派活動という政治色が出やすい、学生運動を行う若者が主人公だが、議論したりデモをしたり、若いパワーをぶつけるさまはまさに青春物語だった。当時の学生にとって運動は部活であり、スポーツであり恋の舞台であった。共産党はある意味、今話題の日大アメフト部に近かったのだろう。共産党の方針転換で、多くのものが失望し、自分の空虚さに驚いた。みな考えている気になっていたが、結局はおやじたちに盲信していたのだ。これらの保守と革新の間に矛盾を抱きながら悩む姿は、高校野球のような青臭さを感じた。

 家に帰ると、佐川前国税庁長官の不起訴が決定していた。彼にも青春があったのだろうか、とふと疑問に思う。政権の犬、のような報道のされ方だが、結局長官の職をそそくさと去っていた彼は、30年前、何を夢見ていたのだろうか。